ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』東京公演開幕

舞台写真・出演者&演出家コメント公開!

 

左より)エドワード役 ウエンツ瑛士、ミッキー役 柿澤勇人
左より)エドワード役 ウエンツ瑛士、ミッキー役 柿澤勇人
左より)サミー役 内田朝陽、リンダ役 木南晴夏、ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、ミッキー役 柿澤勇人、ナレーター役 伊礼彼方
左より)サミー役 内田朝陽、リンダ役 木南晴夏、ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、ミッキー役 柿澤勇人、ナレーター役 伊礼彼方

1983年イギリス・リバプールでの初演以来驚異のロングランを続け、ウエストエンドを代表するミュージカル作品であり、日本でも繰り返し上演を続け上演30周年を迎える『ブラッド・ブラザーズ』。今回は新演出版として、自身も日本初演時に出演をしていた吉田鋼太郎が初めてミュージカルの演出を手掛けた。

本作は二卵性双生児として生まれた二人の男の子が、一人は裕福な家庭に引き取られ、もう一人は実の母親と貧しさの中で暮らし、双子と知らずに出会い人生を通して固い友情を育んでゆく物語。親友として過ごしてきた二人が血が繋がっていると知った瞬間に運命が変わってしまう、数奇で切ない人間ドラマ。

出演は、柿澤勇人、ウエンツ瑛士のほか、木南晴夏、鈴木壮麻、内田朝陽、伊礼彼方、一路真輝、堀内敬子など、この作品にふさわしい、演技に定評のあるキャストが揃った。

 

左より)ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、ミセス・ライオンズ役 一路真輝
左より)ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、ミセス・ライオンズ役 一路真輝
左より)リンダ役 木南晴夏、ミッキー役 柿澤勇人、エドワード役 ウエンツ瑛士
左より)リンダ役 木南晴夏、ミッキー役 柿澤勇人、エドワード役 ウエンツ瑛士

舞台上に現れるジョンストン一家が住む公営団地と、ライオンズ一家が住む豪邸という美術セットは、双子の運命を分けた対照的な2つの生活を見事に表現している。それぞれの家は、階級社会が持つ隔たりを常に想起させ、照明や衣裳が、作品をより生き生きとしたものにしている。セットの2階部分に設置されたバンド台から奏でられる音楽は、俳優の呼吸に寄り添うようドラマとシンクロし、観客の感情を増幅させてくれる。物語にたびたび登場する劇中曲「マリリン・モンロー」は、その時々の情景で演奏され、思わず口ずさんでしまうほど耳に残るナンバーのひとつだ。

 

左より)エドワード役 ウエンツ瑛士、リンダ役 木南晴夏、ミッキー役 柿澤勇人
左より)エドワード役 ウエンツ瑛士、リンダ役 木南晴夏、ミッキー役 柿澤勇人

双子の兄弟・ミッキーには柿澤勇人、エドワードにはウエンツ瑛士が扮する。

1幕では7,8歳の男の子の持つ若さと遊び心をある種のリアリティをもって表現し、物語が進むに連れ、10代の若者の溢れるエネルギーを、さらに彼らが大人になるまでを説得力を持って演じ、緻密な稽古に裏付けされた高い演技力を証明している。

柿澤は、ミッキーが精神的に崩壊していく様子を力演しており、その瞬間の身振りや表情の変化が見事だ。一方、ウエンツは、典型的な英国のスクールボーイを持ち前の清潔感とユーモアのセンスで見事に演じきる。

双子の幼馴染・リンダ役の木南晴夏は、活発な少女から可憐な女性へと変貌していく。ミッキーとエドワード、二人の男性の間を揺れ動く繊細さと、結婚後は献身的にミッキーを支えていく健気な女性を演じている。

 

左より)鈴木壮麻・堀内敬子
左より)鈴木壮麻・堀内敬子

堀内敬子演じるミセス・ジョンストンは、ダンスが大好きな子沢山の肝っ玉母さんとして、必死に生きていくパワーが凄い。子供を手放さざるを得ない苦しみに耐える彼女が歌うナンバーは、どれも感情を揺さぶるようなエモーショナルなものばかりだ。再出発し、新しい人生のチャンスを手に入れたミセス・ジョンストンの姿に、思わず笑みと勇気が湧いてくる。

 

ミッキー役 柿澤勇人
ミッキー役 柿澤勇人
エドワード役 ウエンツ瑛士
エドワード役 ウエンツ瑛士
左より)ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、ミッキー役 柿澤勇人
左より)ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、ミッキー役 柿澤勇人

エドワードの育ての親となるミセス・ライオンズを演じるのは一路真輝。彼女の演技力とその歌唱力の高さで自分の子供を持てない女性の苦悩を見事に表現している。

この作品の語り部・ナレーターの伊礼彼方は、常に舞台上を支配し、常に監視している。観客をドラマの背景へと誘い、悪魔のような語り口が絶え間なく不穏な空気を醸し出す。ある時は牛乳配達人、ある時は婦人科医と、変幻自在の役柄も見どころだ。

 

上)ナレーター役 伊礼彼方、下)ミセス・ライオンズ役 一路真輝
上)ナレーター役 伊礼彼方、下)ミセス・ライオンズ役 一路真輝
左手前)ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、左奥)ナレーター役 伊礼彼方、右)ミセス・ライオンズ役 一路真輝
左手前)ミセス・ジョンストン役 堀内敬子、左奥)ナレーター役 伊礼彼方、右)ミセス・ライオンズ役 一路真輝

ミスター・ライオンズを演じる鈴木壮麻は、持ち前の紳士さ柔和な夫として作品を締め、内田朝陽の演じるミッキーの兄・サミーは、奔放な悪ガキぶりが最大の特徴であり、大人になった凄味も感じさせる。

迷信をテーマにしたこの作品では、不吉な数字として知られる13人というキャストの人数も納得だ。運命とはいったい何か?この物語は観る者にそんな問いを投げかけるだだろう。

 


―演出家・出演者からのコメント

 

■演出・吉田鋼太郎

稽古から非常に順調で素晴らしい俳優さんたちのお芝居、それから音楽。スタッフワーク含め本当に全てうまく噛み合って、いいお芝居ができる予感でいっぱいです。これまでの上演の中でもおそらく一番面白いものだと思います。まぁそれはお客様の見方でしかございませんが、我々としては一番面白いものが出来上がっているのではないかという自信があります。こういう世の中ではありますが、『ブラッド・ブラザーズ』を見に来ていただいて、明日から頑張ろう!コロナを乗り切っていこう!新しい生活を一歩踏み出していこう!と言う元気と勇気を是非皆様に持って帰っていただければと思います。必見です!

 

ミッキー役 柿澤勇人
ミッキー役 柿澤勇人

■柿澤勇人(ミッキー役)

本番を迎えるまでに10回もの通し稽古を行いました。舞台を始めて15年ほど経ちますが、このようなことは初めてです。いつも以上に本番が待ちきれません。吉田鋼太郎さんの初めてのミュージカル演出で、双子の相棒、ウエンツ瑛士さんと共に暴れます。劇場でお待ちしております。

エドワード役 ウエンツ瑛士
エドワード役 ウエンツ瑛士

■ウエンツ瑛士(エドワード役)

また1つ、大好きな作品が出来ました。この作品に出会えた事を心から感謝しています。真摯に、誠実に、そして丁寧にキャスト一同向き合ってきました。あとは勇気を持って皆様のもとにお届けするだけです。このキャスト、スタッフならばそれが出来ます。吉田鋼太郎さんのもと集まった素晴らしいチームで時代、国境を越えた舞台の素晴らしさをお届けしたいと思います。

リンダ役 木南晴夏
リンダ役 木南晴夏

■木南晴夏(リンダ役)

この脚本を初めて読んだ時、なんていいお話なんだと思いました。それと同時に、なんて胸に突き刺さる物語なんだと。その物語の一員となり、みなさまにお届けできることを、とても嬉しく思います。

このような状況下の中、舞台に立てる喜び、そして見に来てくださる方への感謝の気持ちでいっぱいです。どうかこのまま最後まで完走できますように。

ミスター・ライオンズ役 鈴木壮麻
ミスター・ライオンズ役 鈴木壮麻

■鈴木壮麻(ミスター・ライオンズ役)

演出家、吉田鋼太郎さんのもと、役者たちは皆とても高い熱量を求められた。限界点に達したからこその、そこから余分なものを削ぎ落して行く作業。芝居は全てが一期一会。稽古場で行われた10回の通し稽古はひとつとして同じものはなかった。言葉、感情、意識、肉体が激しくぶつかり合い、時に共鳴に合い、やがて一つの大きなうねりとなる。さぁ、これからスタッフ・キャスト・ミュージシャン一家総出で心を込めてこの作品をお客様にお届けしよう!

サミー役 内田朝陽
サミー役 内田朝陽

■内田朝陽(サミー役)

こんなミュージカルがあるのを僕は知らなかった。完全に可笑しい。毎日が楽しい。稽古を終えて初日を目前に控えても、未だに『ブラッド・ブラザーズ』という作品を誤解していたなと感じる毎日です。イギリスのミュージカル作品と聞くとなんだか畏まった嗜好品を想像していたが全く違いました。この作品はまるでパーティーみたいだ。色々起きて炸裂してそして終焉していく。これからの連日パーティーでどんな事が起こるのか楽しみでならない。でも、少し怖い。

ナレーター役 伊礼彼方
ナレーター役 伊礼彼方

■伊礼彼方(ナレーター役)

最初に結末を伝えてしまうシーンから始まりますが、観劇者はきっと、いつの間にか結末を忘れて目の前で起きている物語に引き込まれていくと信じてます。そして最後には誰もが望まない結末に心が引き裂かれる。世情が揺れている中、感じることは多いと思います。当たり前に「明日」が来ると思わず、今一緒に過ごせる時間に感謝します。

ミセス・ライオンズ役 一路真輝
ミセス・ライオンズ役 一路真輝

■一路真輝(ミセス・ライオンズ役)

今まで観客として、幾度となく観てきたミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。素敵な作品である事に間違いないのですが、演じてみて改めて、奥深い完成された戯曲であると痛感しました。そんな作品を熟知されている演出の吉田鋼太郎さんの導きの中、カンパニー一同迷いなく前に進んで稽古を重ね、初日を迎えます。最高の『ブラッド・ブラザーズ』になると信じて精一杯務めさせて頂きます。

ミセス・ジョンストン役 堀内敬子
ミセス・ジョンストン役 堀内敬子

■堀内敬子(ミセス・ジョンストン役)

いよいよ初日をむかえ、幕が上がる事に、とてもワクワクドキドキしております。みんなで、お稽古を沢山重ねて来ました。マスクで表情が読み取りにくい中、必死に目を見つめ、お稽古しました。当たり前が、そうでなくなった世界。心の叫びを感じていただけたらと思います。劇場でお会いして、同じ時間、空間を共有しましょう。お待ちしております。


―あらすじ

ナレーター(伊礼彼方)が語る、ある双子の数奇な話――

ミセス・ジョンストン(堀内敬子)は7人の子持ち。新たな妊娠を機に夫に逃げられ、借金取りに追われ、その上お腹の赤ん坊は双子だと判明する。一方、彼女が仕えるミセス・ライオンズ(一路真輝)は仕事で多忙な夫(鈴木壮麻)との間に子供ができず悩んでいた。ミセス・ライオンズはミセス・ジョンストンに双子の片割れを欲しいと懇願。裕福な家庭の方が幸せになれる、仕事のたびに会えると説得し、それを信じたミセス・ジョンストンは生まれた双子の一人を渡す。ところがミセス・ライオンズは赤ん坊をあやすミセス・ジョンストンに嫉妬し、無理矢理くびにしてしまう。

異なる環境で育っていた二人は、7歳の時に出会う。ヤンチャな兄サミー(内田朝陽)に憧れるいたずらっ子ミッキー(柿澤勇人)と、品の良いエドワード(ウエンツ瑛士)。二人は同じ生年月日であることを喜び、義兄弟の誓いを交わす。母親たちは一緒に遊ぶことを嫌がったが、彼らの絆は固かった。ある日、ミッキーとエドワード、ミッキーの幼馴染リンダ(木南晴夏)が警官をからかい、警察沙汰に。ライオンズ家は二人を会わせないようと転居を決める。別れを告げに訪れたエドワードに、ミセス・ジョンストンは内緒でミッキーと自分の写真が入ったロケットを渡す。しばらくしてジョンストン家も取り壊しが決まり、新天地で再出発することとなる。

ミッキーとエドワード14歳。ミッキーは兄サミーやリンダと騒がしい毎日を送り、エドワードは厳格な男子校に通っていた。ある日、ミッキーがリンダのことで悩んでいると、そこに現れたのがエドワード。なんと二人は近くに住んでいたのだ。そんな二人をミセス・ライオンズは遠くから見ていた。口説き方を学ぶために映画を見ることにした二人は、途中ミッキーの家に立ち寄る。エドワードとの再会を喜ぶミセス・ジョンストン。二人が去ると、ミセス・ライオンズがやってきた…。

ミッキーとエドワード、リンダは自由で無邪気、幸せな青春を謳歌した。18歳になると、エドワードは大学へと旅立ち、ミッキーは工場で働き出した。リンダの妊娠をきっかけにミッキーとリンダは結婚。ところが不景気によりミッキーは仕事を解雇され、探せども仕事は見つからない。エディは事情を知ってミッキーにお金を渡そうとするが、ミッキーはイラつき決別を告げる。

失業中のミッキーにサミーが強盗の見張りを持ちかけた。しかし強盗は失敗、サミーとミッキーは刑務所送りに。入所中、ミッキーはうつ病で薬漬けになり、出所後も薬を手放せない。リンダはエドワードの支援を受けて生活を立て直そうと努めるが、ミッキーは二人の仲を疑い始める…。

 

<久留米公演(福岡)>

2022年4月15日(金)~17日(日)

会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール 

※15日(金)は公演終了後にアフタートーク開催

【登壇者】柿澤勇人/ウエンツ瑛士