イントロダクション
なぜ彼は、別人として生きていたのか――。
平野啓一郎の傑作小説が、ブロードウェイ作曲家による音楽と出会い、心を深く揺さぶるミュージカルに。
浦井健治、小池徹平ら実力派キャストが、壮大で繊細な人間ドラマを描き出す。
2018年に読売文学賞を受賞し、世界中で翻訳された長編小説『ある男』。
その物語が、今、圧倒的な歌唱力と演技力を誇るキャスト陣と共に世界初演を迎える。
「この男は一体、何者なのかー」
死んだ男の正体を追う先に見えてくる真実とは。
肩書も国籍も剥ぎ取った先に残る“自分”とは何か。
社会的評価、戸籍、血筋、内面──何が人を「その人」とするのか。
“普通”の幸せを装いながら、もがき続ける一人の男の姿が、
観る者の心を深くえぐり、共鳴を呼ぶ。
これはただの謎解きではない。
人間の本質と、現代を生きる私たち自身を見つめ直す物語。
静けさと激しさがせめぎ合う。
新たな劇場体験の幕が開く。
ストーリー
「私はいったい誰を愛したんでしょう…」
「仮に、彼を“X”と呼ぶことにします」
一見幸せな人生を送る弁護士の城戸章良(浦井健治)は、
とある奇妙な調査依頼をきっかけに深いうねりへとのめり込んでいく。
調査の依頼人は谷口里枝(ソニン)。
里枝は愛する夫の大祐を不慮の事故で突然失い、悲しみに打ちひしがれる中、
長年疎遠だった大祐の兄、谷口恭一(上原理生)から
衝撃の事実を突きつけられる。
“愛した人は、名前も過去もすべてが偽りだった”
温泉旅館の次男である谷口大祐(上川一哉)
と名乗っていた男、“X”(小池徹平)とは、いったい誰なのか。
城戸は、大祐の元恋人である後藤美涼(濱田めぐみ)と共に調査にのめり込んでいく一方、
家庭では妻の城戸香織(知念里奈)との溝が深まっていく。
ある過去の事件を知る収監中の戸籍ブローカー小見浦憲男(鹿賀丈史)に翻弄されながら、
Xの人生を通して、
“人間の存在の根源とは何か”
問いに導かれ、城戸は闇へと踏み込んでいく。
“普通”の幸せを求め続けた男
“普通”の幸せを生きているフリをしている男
二人の人生が交錯した先に待つ、この世界の真実とは―
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